学習障害を英語で言うと?
→Learning Disability(LD)
Learningは「学習」、Disabilityは「障害」という意味です。
医学的には、Learning Disorderと言います。
近年は、Learning Differences(学び方の違い)と呼ぶ人もいます。
学習障害とは、どういった学習に必要な基礎能力のうち、一つないし複数の特定の能力についてなかなか習得できなかったり、上手く発揮することができない状態のことか?
→「聞く」「話す」「読む」「書く」「計算する」「推論する」
学習障害は、限局性学習症(Specific Learning Disorder、SLD)とも言います。
学習障害は、全般的な知的発達に遅れはあるか?
→ない。
目安として、学習到達度にどのぐらいの遅れがあるのが一般的か?
→1~2学年相当
一斉の学習活動が基本となっている現在の学校教育においては、学習障害のある子供が各教科を学ぶ場合、何が必要となるか?
→障害による困難さに対する指導上の工夫や個に応じた手立て
例えば、文章を目で追いながら音読することが苦手な場合にどのような工夫ができるか?
→拡大コピーを用意したり、スリット等を活用したりする。
学習障害の3つのタイプとは?
→読字障害(ディスレクシア)、書字障害(ディスグラフィア)、算数障害(ディスカリキュリア)
読字障害(ディスレクシア)はどのような特徴があるか?
→文章を読むのが極端に遅く、読み間違えることがよくある。
文字が読めないわけではありません。
書字障害(ディスグラフィア)はどのような特徴があるか?
→文字を書いたり文章をつづったりするのが難しい。
読字障害があると書字障害も伴いやすいと言われています。
算数障害(ディスカリキュリア)はどのような特徴があるか?
→計算や推論することが難しい。
学習障害は、本格的な学習が入る小学生ごろまで判断が難しい障害である。そのため、子どもにどのような影響があるか?
→子どもの自信の低下につながりやすく、抑うつなどの問題が起きる可能性もある。
「頑張ればできる」「努力が足りない」「勉強不足」と見過ごされることが多いため、支援の必要性が認知されにくいです。不登校やひきこもりの問題につながってしまう可能性もあります。
読字障害(ディスレクシア)のある子どもによく見られる行動は?
- ひらがなの音読が遅く、読み間違える。
- 読んでいる文字や文章の意味を理解することが難しい。
- 文章を読むのがたどたどしく、文章の内容をつかんだりまとめたりすることが難しい。
書字障害(ディスグラフィア)のある子どもによく見られる行動は?
- バランスのとれた文字を書くことが難しい。
- 文章を書くときに助詞などを上手く使いこなせない。
- 板書などの書き写しの速度が極端に遅い。
- 考えた内容を書いて表現することが難しい。
算数障害(ディスカリキュリア)のある子どもによく見られる行動は?
- 数の概念が身に付かず、数列系の規則性などの習得が難しい。
- 計算を習得することが難しい。
- 文章題を解くのが難しい。
小児期に生じる特異的な読み書き障害を何と言うか?
→発達性ディスレクシア
発達性ディスレクシアは、「知的な遅れや視聴覚障害がなく、十分な教育歴と本人の努力が見られるにも関わらず、知的能力から期待される読字能力を獲得することに困難がある状態」と定義されています。
日本における発達性ディスレクシアの発生頻度はどのぐらいの割合か?
→4.5%(2002年~2012年の全国調査による)
アルファベット語圏では3~12%と言われています。
また、ひらがなの学習障害は0.8~2.1%とされています。
発達性ディスレクシアの読字や書字の特徴はどのようなものがあるか?
- 文字を一つ一つ拾って読むという逐次読みをする。
- 単語あるいは文節の途中で区切って読む。
- 読んでいるところを確認するように指で押さえながら読む。
- 文字間や単語間が広い場合は読めるが、狭いと読み誤りが増えて行を取り違える。
- 音読不能な文字を読み飛ばす。
- 文末などを適当に変えて読んでしまう適当読み。
- 音読みしかできない、あるいは、訓読みしかできない。
- 拗音「ょ」促音「っ」など、特殊音節の書き間違えや抜かしがある。
- 助詞「は」を「わ」と書くなどの同じ音の書字を誤る。
- 形態的に類似した文字「め・ぬ」等の書字誤りを示す。
学習障害の子どもを支援する際に、特に注意すべきことは何か?
→「できるまでやらせる」にならないようにする。(何度も何度も繰り返し書くといった学習方法にならないようにする。)
「努力しても上手くできない」と感じてしまうと、学習に対する苦手意識や、時には支援者(保護者や先生など)に対する嫌悪感につながってしまうことがあります。