フィロソフィア(Philosophia)
→哲学(愛知)
“philos”は「愛する」、”sophia”は「知恵」という意味です。
そのまま日本語に訳せば「愛知」ですが、明治時代に西周(にしあまね)という人が「哲学」と訳しました。
スコレー(schole)
→閑暇(ひま)
ギリシアの市民は奴隷に仕事や家事をまかせ、自由で暇な時間を持つことができました。この自由で暇な時間によって、哲学・芸術・競技などの文化を開花させることができました。
ちなみに、”school”の語源です。
コスモス(cosmos)
→秩序・調和・宇宙・世界など
ギリシア人たちは、宇宙を一定の秩序を備えた調和のあるものと考えました。古代ギリシアの哲学者ピタゴラスが、宇宙をコスモスと呼んだのが最初とされています。
カオス(chaos)
→混沌
ギリシア神話では、万物が発生する以前の神秘的な原初の状態を指します。
モイラ(moira)
→運命
ギリシア神話の運命の女神をモイラと呼びます。最高神ゼウスもこの運命の女神の支配を逃れることはできないとされています。
ポリス(polis)
→都市国家
古代ギリシアでは、多数の独立したポリスが存在しており、ポリスどうしで交流をしたり争ったりしていました。有名なポリスとして、アテネやスパルタなどがあります。
アクロポリス
→ポリスの中心部(「高い市」という意味がある)
ポリスの中心部をアクロポリスと呼んでいました。アクロポリスには守護神を祀る神殿が建てられ、戦時には要塞としても機能していました。
アゴラ
→公共の広場
アクロポリスのふもとにはアゴラと呼ばれる公共の広場がありました。アゴラでは、市民が参加する民会や、裁判・社交・交易などが行われました。
デモクラティア
→ギリシアで行われていた直接民主制
古代ギリシアのポリスでは直接民主制が行われていました。市民は(当時は男性に限られていましたが)民会に参加し、そこでポリスの政治について話し合われました。
デモクラティアはデモス(人民)とクラチア(権力)からなる言葉で、英語のdemocracy(民主主義)の語源となりました。
テオリア(theoria)
→観想
観想(観照とも)は、利害関係を離れて、理性によって物事の本質や真理を客観的に観察することです。英語のtheory(理論)の語源となりました。
古代ギリシアの哲学者アリストテレスは観想的な生活こそが最も幸福な生活であると説きました。
ミュトス(mythos)
→神話
ギリシア神話は、神々の超自然的な働きによって、世界の様々な事象の起源を説明する物語です。古代の人々は、自然や人生の不可解な出来事を神話によって説明し、理解しようとしました。
ヒュブリス(hybris)
→傲慢
神々と運命(モイラ)が定めた人間的限界を超えようとする人間の思い上がりのことです。古代の人々は、傲慢(ヒュブリス)を戒め、運命に従うつつましさを持たなければならないと考えていました。
ロゴス(logos)
→言葉・定義・命題・論理・理性など
古代ギリシア人は、世界はカオス(混沌)ではなく、法則が支配する秩序あるコスモス(宇宙・秩序)と考えました。そして、世界を支配する法則であるロゴスを、人間に備わっているロゴス(理性)によって把握し、世界を合理的に理解しようとする営みから哲学が生まれました。
ドクサ(doxa)
→思いこみ
独断的な知識や見解のことです。
エピステーメー(episteme)
→真の知識・学問
ギリシア哲学は、日常生活で思いこまれている主観的な思いこみ(ドクサ)を超えて、客観的な理由に裏付けられた普遍的な真の知識(エピステーメー)を探究しました。
アトム(atom)
→原子
すべてのものを構成する、それ以上分割できない究極的要素のことです。万物はアトム(原子)の運動と結合によって成立するという原子論は、紀元前4世紀ごろの古代ギリシアの哲学者デモクリトスによって完成させられました。そして時は流れ19世紀になって、科学者ドルトンにより原子の基本的構造が科学的に明らかにされました。
ソフィスト(Sopistes)
→謝礼金をとって教養や弁論術を教える職業教師
もともとは「知恵のあるも人」「賢者」という意味でしたが、紀元前5世紀ごろにはギリシアのポリスを巡回しながら謝礼金をとって教養や弁論術を教える職業教師を指すようになりました。
学問を振興し、批判的精神を育てた側面もありますが、真偽に関わらず自己主張を正当化し、自分に有利なように議論を進める弁論術を教えたために、やがて詭弁家という批判を受けました。
ピュシス(physis)
→自然・ものごとの性質・ありのままの本性
古代ギリシアの自然哲学者たちは、人間から独立して存在するピュシス(自然)の根本的な原理について探究した。
ノモス(nomos)
→人為
ピュシス(自然)に対立する言葉で、社会の法律・制度・習慣など人間が作り上げた人為的なものを指します。
ダイモン
→各人の運命を支配する守護神
エイロネイア(eironeia)
→皮肉
ギリシア語のエイロネイアは知らないふりをすることを意味します。英語のirony(皮肉)の語源です。
プシュケー(psyche)
→魂
アレテー(arete)
→徳・優秀性・卓越性
アレテーは、あるものの本来の機能の働きをよくするものという意味です。そして、ソクラテスは、人間の人間としての優秀性という意味を持たせ、徳という意味を与えました。
イデア(idea)
→理性によって認識できる真の実在
もともとは、ものの見える形、ものの外見や姿という意味ですが、プラトンはこれに理性によって認識できる真の実在という意味を与えました。
アナムネーシス(anamnesis)
→想起
プラトンは、「人間が何かを知ることは、魂がかつて見たイデアを思い出すことである」という想起説を主張しました。
エロース(eros)
→愛
もともとは古代ギリシアの愛の神のことです。エロースは価値ある優れたものを求める愛であり、善や美を憧れ求めるエロースによって、知恵(ソフィア)を愛する哲学(フィロソフィア)が生まれます。
アカデメイア(Akademeia)
→プラトンがアテネの郊外に設立した学園
紀元前387年ごろに設立され、529年にビザンツ(東ローマ)肯定ユスティニアヌスによって閉鎖されるまでの約900年間続きました。研究と教育を目的とする組織的機関として、academy(学校・研究機関)の語源となりました。
エイドス(eidos)
→形相(事物に内在し、それが「何であるか」を規定する本質)
プラトンは、個物を超えた超越的な本質をイデアと呼びましたが、アリストテレスはこの考えを否定し、個物に内在する本質をエイドス(形相)と呼びました。
ヒュレー(hyle)
→質料・素材
アリストテレスは、物事は形相(エイドス)と質料(ヒュレー)が合わさって成立していると考えました。
ヌース
→知性
アリストテレスは、知性(ヌース)を物事の原理を直観的に把握するものとしました。
エートス
→習慣・性格
アリストテレスは、行動を繰り返して習慣(エートス)にすることで、性格(エートス)が形成されると考えました。
フロネーシス(phronesis)
→思慮
善悪を分別し、行動や態度の適切さを判断する実践的な能力のことです。
メソテース(mesotes)
→中庸
欲求や感情において過度や不足の両極端を避けて、適切な中間を選ぶことです。例えば、勇気に関して言えば、過度だと無謀になりますが、不足すると臆病になってしまいます。この無謀と臆病の中間にある適切なほどよさを目指すべきだとアリストテレスは主張しました。
フィリア(philia)
→友愛
アリストテレスは、人柄が優れ、互いに似た徳を持つ者どうしに見い出される人間性の善さによって結ばれた友愛を最も重んじました。
パトス
→情念
パトス(情念)は、外界の影響によって心が動揺することから生まれます。
カタルシス(katharsis)
→浄化・純化
激しい感情(パトス)からの解放を意味します。劇などにおいては、劇中の事件や人物への共感が、心に鬱積した観客の感情を浄化することを指します。
リュケイオン(Lykeion)
→アリストテレスがアテネ郊外に開いた学園
アレクサンドロス大王の支援を受け、多くの標本を収集した博物館や図書館などをそなえた高度の研究機関でした。
コスモポリテース(cosmopolites)
→世界市民
世界(コスモス)に住む市民(ポリテース)という意味です。普遍的な理性を分け持つ人間を、国家や民族などの枠を越えた平等な同胞とみる人間観です。
ちなみに、世界国家のことをコスモポリス(cosmopols)と言います。
アパテイア(apatheia)
→不動心
外界からの刺激によって起こる感情(パトス)や欲望に心を乱されないことです。
アウルケイア
→自足・知足
飢えや渇きなどの最小限度の欲望を満たして肉体の苦痛を取り除き、死や神々などへの恐れや不安から解放され、みずからに満足した状態のことです。
アタラクシア(ataraxia)
→外界から煩わされない魂の平静な境地