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ピエール・ブルデューの人物情報・基本知識・名言

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人物情報

1930年~2002年

フランスのピレネー=アトランティック県に生まれる。

主著

『ディスタンクシオン』:趣味は文化的な闘争の場でもあるとし、趣味を社会学的に分析した。趣味というのは人それぞれで、単なる好き嫌いの話に見えるが、実は本人が所属する集団や社会階層、慣習行動と切り離せない関係にあると主張した。

基本知識

卓越化

趣味には価値が内在されている。

  • 上品↔下品
  • 高尚↔低俗

上品、高尚な趣味は正統的で、下品、低俗な趣味は正統的でない(大衆的)と言える。上品な趣味は下品な趣味に対して、高尚な趣味は低俗な趣味に対して、卓越化していると認識される。

  • 卓越化:フランス語で「ディスタンクシオン」。「自分こそが正統的で、本物で、特別である」と考えること。

趣味における卓越化の闘争(自分の趣味こそ卓越化されていると認識する闘争)がなされる。趣味というのは、その趣味だけで完結するのではなく、常に他の趣味への眼差しが含まれている。そして、自分の趣味が一番卓越化さえていると思いたがっている。

社会階級と趣味

経済資本(持っているお金の量)と文化資本(金銭以外の教養や趣味、文化的素養といった個人的資産)の総量と比率で、社会階級が形成され、その社会階級と趣味には緊密な関係がある。

ハビトゥス

家庭や学校などでハビトゥスが獲得される。そして、ハビトゥスは意識されることのないまま個人の知覚や思考、振る舞いを枠づけることによって社会構造を再生産する。

  • ハビトゥス:個人の態度や好み、慣習行動の下になるような社会的性向のこと。その行為者の過去の経験の沈殿物。

構造(ハビトゥス)が行為を束縛する。その行為が既存の構造を変え、やがてまた新たな構造として凝固する。構造と行為の循環構造が形成される。

ハビトゥスは常に既存のシステムを更新して、新たな慣習行動を生産する強力な生成母胎(構造化する構造)としてとらえられる。

※習慣(habit):すでに個人の身体に沈殿し固着した性質を惰性的に反復し再生産するだけのもの。

場の力学

場とは、社会空間に分布するひとまとまりの領域で、医学界、文学界、美術界、音楽会、演劇界などがそれである。

現時点での場を陣地として、ある場を標的にし、闘争する、ということが繰り広げられている。これを象徴闘争という。

さまざまな社会的位置にある人々が自分に親しい趣味や慣習行動を正統的なものとして定義し、これを支配的価値観として押し付けることを目指した、象徴レベルにおける闘争が繰り広げられる。

ハビトゥス、資本、場が要因となって行為が生成される。そして、その行為がハビトゥス、資本、場を再構成する。こうした循環構造がある。

支配階級

支配階級(ブルジョワ階級)は、社会空間の上層部にいる人たちで2つに分類される。

  • 文化貴族:ブルジョワ階級への古参性が高い。文化的生産物を見る目があるかで卓越化を図る。例えば、美術館などを好む。
  • 成り上がり者:ブルジョワ階級への古参性が低い。自分の経済力を利用して卓越化を図る。例えば、観劇などのお金がかかる趣味を好む。

文化貴族は余裕のある姿勢や自然な振る舞いを行うことができるが、成り上がり者は振る舞いにぎこちなさがつきまとい、気おくれを感じたり緊張感を覚えずにはいられない。

中間階級

中間階級は社会空間の中間的な領域に位置する階級で、プチブルとも呼ばれる。上に位置する支配階級と、下に位置する庶民階級が見える。

ブルジョワな生活様式にあこがれ、その正統性を承認せざるをえない。しかし、彼らは文化貴族の血統を受け継いではおらず、支配的文化を享受するにふさわしい知識を十分に持ち合わせていない。

その落差を埋めるために、上昇戦略に乗り出す。支配階級の世界の価値体系を無条件に肯定し、適応していかなければ、そもそもその世界にすら入れない。

「性急な判断」がプチブルの特徴である。大して正統性のあるものでもないのに、正統性があると勘違いしたり、俗っぽいものを高尚なものと勘違いしたりする。また、中間階級は、文化資本を努力して身につけたので振る舞いがぎこちなくなる。自然な振る舞いができず、いつも不安との闘いになる。

庶民階級

庶民階級は選択肢が少ない中で、独特な適応戦略がなされる。

庶民階級は支配階級の文化に拒否的で、象徴闘争を無効化しようと、無視しようとする。そして、その対極にある機能主義、あるいは実用主義に傾くようになる。

庶民階級は卓越化の放棄をすることで、庶民のままで居続けるという別のタイプの卓越化を図る。それゆえ、庶民階級の中で、中間階級や支配階級に行こうとする人には非常に冷たい態度をとる。

名言

「それらは供給された生産物が即座に近づきうるものであるということと、それが外側には文化的正統性の表徴をまとっていることという、普通は相容れない2つの特性を結び付けることによって、もっぱら自分は正統性の高みにいるのだという感情を万人に与えることをめざして作られているのである」

「中間階級は文化のゲームをゲームとして遊ぶ術を知らない」

「文化というものをあまりにもまじめに考えすぎるため、はったりをきかせたり、人をペテンにかけたりすることができず、あるいは単に、文化と本当に深く親しんでいることを証拠立てる距離を置いた余裕や屈託のなさを持つことさえできない」

「教育の努力による段階的進歩を約束されている彼らは、教養と知性の光明にたいする信仰に基礎づけれられた進歩主義的世界観へ、そして、各人をその学業成績に応じて処遇することを目指す穏健な改良主義へと自然に向かってゆく」

「生産労働者は他の諸階級に比べて、小ぎれいで清潔なインテリアや手入れがしやすいインテリア、あるいは価値のわりに値打ちのある服を好む確率が高いのであるが、これらは結局のところ経済的必要性によって彼らに割り当てられるというのが実情だ」


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