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ハンナ・アーレントの人物情報・基本知識・名言

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人物情報

1906年~1975年

ドイツのケーニヒスベルクにユダヤ人として生まれる。

フッサールの現象学とヤスパースの実存主義に影響を受け、ハイデッガーに傾倒していた。

全体主義(ナチス)を人間個人の悪とするのではなく、仕組みやイデオロギーに注目した。

公共性への警鐘は、社会学に大きな影響を与えた。

主著

全体主義の起源』:孤立化した現代人が人種主義などに帰属感を求め、全体主義の組織に吸収されるいきさつを分析している。

  • 全体主義:個人の利益よりも全体の利益を優先して、その利益のために個人が従属しなければならない主義のこと。ナチスドイツの根底にあるのが全体主義で、全体性の狂気が個人を動かし、ユダヤ人虐殺などを起こした。

基本知識

全体主義の起源

全体主義が生まれた原因は3つある。

  1. アトム化:近代化によって、所属するコミュニティを失った人々が社会の中で原子のようにバラバラになってしまうこと。人々はよりどころとなる場所を求めるようになる。
  2. 共通の敵の存在(反ユダヤ主義):「ユダヤ人が世界の経済を牛耳っていて、そのせいで自分たちが苦しい思いをしている」ということを多くのドイツ人が信じていた。
  3. 帝国主義:他国を植民地化して自国の領土を広げることで、より強い国家を作ろうとする考え方。

第一次世界大戦後のドイツは賠償金問題や世界恐慌によって、失業者が大量に生まれ、不安定な情勢が続いていたため、ナチスがバラバラになった人々のよりどころとなった。

また、ユダヤ人という明確な敵を作ることによって、ドイツ人のアイデンティティを強固にし、国民国家としての団結力を強めていった。

さらに、「ドイツ人こそが人種的に優れていて、他国民は劣っている」という優生思想によって、人種的に劣っていると信じていたユダヤ人を排除する運動につながる。

結果、相対的にドイツ人は団結を強めることになり、ホロコーストのような残虐な事件につながった。

活動的性格

アーレントは人間の営みを3つに分けた。

  1. 労働(labor):生存のための行為。
  2. 仕事(work):芸術作品や道具などを作る行為。自己実現のための行為。
  3. 活動(action):政治やボランティアなど言葉を仲立ちとする人間相互の関係を築く行為。

活動こそが公共性を形づくるものである。

労働社会では、多くの人間がただ生きるためだけに生活しているため、他者への介入が極端に少ない。

個性をむき出しにして、人間関係の網の目に積極的に参加しなければならない。活動が弱まると全体主義が台頭することになる。

また、自己の生命を第一に考えることは、長い因果関係の果てに全体主義を生み、結局、生命や人類の危機につながりうる。

名言

「人間は動物へとすすんで退化しようとしている」


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