☆ソクラテスと対話しよう→ソクラテスが質問・疑問に答えます!
人物情報
紀元前470年頃~紀元前399年
アテネに生まれる。
デルフォイの神殿において「ソクラテス以上の知者はいない」という信託を受けたが、ソクラテスはそれを試すために、「賢者」と呼ばれる人たち(政治家、詩人、職人など)と対話をしていった。すると、「賢者」と呼ばれる人たちはみな、何でも知っていると自惚れているだけで、実際は、真理について何も知らないことが分かった。そこで、ソクラテスは「知らないことは知らないと思っている」という点において、彼らよりも優れていることを知った。
以降、ソクラテスはアテネの人々に「無知の知」を教えることを使命とし、街頭で若者たちに声をかけて語り合った。多くの若者たち(プラトンアなど)はソクラテスとの対話によって、自らの無知を知ることができたが、その親や周りの大人からは、怪しい宗教を広めているのではないか、と誤解されることも多かった。
結果として、アテネの神々を信じず、青年を迷わした罪があるとして訴えられた。ソクラテスは弁明の機会でも、陪審員の同情を引くようなことはせず、無知の知を説こうとした。結局、死刑が確定する。
死刑が確定した後も、逃亡することはできたが、ソクラテスはあえて死刑の判決に従った。たとえ間違っていたとしても、法に従うことがポリスの市民として善く生きることであると考えていた。
このソクラテスのあり方は、以降の多くの哲学者に影響を与え、尊敬されることになる。
基本知識
対話による真理の探究
ソクラテスの皮肉(エイロネイア):あえて無知で愚かな立場を演じることによって、対話の中で相手の無知を浮き彫りにさせる手法→相手が物事の本質を理解していないことを明らかにし、相手の知らない範囲を明確にする。
問答法:対話(ディアロゴス)の結果、相手が自ら真実の知を悟るのを助ける方法。哲学的な問いを繰り返す。「助産術」とも呼ばれる(知識を当人の内面にある真理と結びつけ、真理をその人から取り上げ気づかせる)。
無知の知
「知らないことは知らないと思っている」という態度。この態度は、真理への探究につながり、愛知(フィロソフィア)へとつながる。
「知らないことを知っている」はむしろ思考停止となるので、「無知の知」の説明としては不適当。
真理について理解していないことを知らないことは愚かである。
徳倫理学
善く生きるためには「魂(プシュケー)への配慮(魂の世話)」が必要であるとした。
そのためには、徳(アレテー)が重要となる。
①知徳一致:徳を得るために知の探究(哲学)をしなければいけない。完全なる知には感情や理性などの偶発性が付け入るスキがないため、善悪に関する完全なる知を持っていれば徳を得ることができる。
②知行合一:真なる知を持っていれば、善い行いを実践することができる。
③そして、福徳一致(幸福な人生)へと至る。
名言
「それを『知者』と呼ぶのは、パイドロス、どうもぼくには、大それたことのように思われるし、それにこの呼び名は、ただ神にのみふさわしいものであるように思える。むしろ『愛知者』とか、あるいは何かこれに類した名で呼ぶほうが、そういう人にはもっとふさわしく、ぴったりするし、適切な調子を伝えるだろう」
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