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マイケル・サンデルの人物情報・基本知識・名言

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人物情報

1953年~

アメリカのミネソタ州ミネアポリスに生まれる。ハーバード大学教授であり、日本では2010年に放映されたNHKの『ハーバード白熱教室』で有名となる。

それまでアメリカの中心的政治主義であったリベラリズム(主にロールズ)を批判し、コミュニタリアニズム(共同体主義)や共和主義の重要性を主張した。

サンデルの思想はドイツに輸入されフランクフルト学派と融合した。

主著

『これからの「正義」の話をしよう』:功利主義、リバタリアニズム、リベラリズム(ロールズなど)、コミュニタリアニズム、カントの道徳論、アリストテレスの目的因を分析し、それぞれの視点で「正義と善」をどう捉えているのかを考察している。

基本知識

トロッコ問題

線路を走っていた路面電車が制御不能になった。このままでは前方で作業をしている5人がひき殺されてしまう。あなたが進路を切り替えれば5人は確実に助かるが、切り換え先で作業をしているA氏が代わりに死んでしまう。この場合、進路を切り替えたあなたの行為は許されるものなのか?

功利主義への批判

  • 功利主義:その決定のすべての利益を足し合わせ、すべてのコスト差し引いたときに、その決定が他の決定よりも多くの幸福を生み出すならば、その決定は是であるとする立場。

道徳の基準を経験的理由(利害、必要性、欲望、選好など)にするべきではない。これは普遍的な基準にはなり得ない。

また、個人の自由を尊重していない。

リバタリアニズム(自由至上主義)への批判

  • リバタリアニズム(自由至上主義):他者の身体や、正当に所有された物質的・私的な財産を侵害しない限り、各人が望む行動は基本的に自由であるとする立場。制約のない市場を支持し、政府規制に反対する(リベラリズム(自由主義)は、市場への国家の介入を認める。そのため、リバタリアニズムは自由至上主義と呼称して区別する)。

社会的弱者を切り捨てたり、社会的弱者を社会全体で助け合うことを放棄することは正義とは言えない。

また、二者間での合意があり、第三者の自由を侵害しなければ、どんな行為も道徳的に正しいと言えない。(臓器売買、自殺ほう助、合意による食人など)

リベラリズムへの批判

  • リベラリズム(自由主義):自由と平等の実現を目指す立場。リバタリアニズム(自由至上主義)とは違い、政府の介入による平等の実現を容認する。

アファーマティブ=アクションは、正義や権利の問題を、美徳や善と切り離して考えている。

  • アファーマティブ=アクション(積極的差別是正措置):ポジティブ=アクションとも言う。黒人や女性、少数民族などの社会的に不利な立場にある人々に優先枠を設けようとする運動。

【例】マイノリティの大学合格の点数を下げることによって、大学内の成員をコントロールする。これは格差を是正する可能性があるが、果たして大学と言う公共の組織において正しい判断なのだろうか?

大学の目的因(本質)を調べることなしに、大学における正義は規定できない。仮に大学の本質が「教育と研究を通じて社会の共通全に貢献すること」であれば、それに背いた規則は正義とは呼べない。

大学の使命は大学が勝手に決めてよいものではなく、大学の善を考察することによって決定されるべきである。

善き生の本質を追求しない限り、何が正義かを決めるのは不可能である。

また、ロールズの言う格差原理は、共同体への貢献意欲が高くないと実現しない。これはつまり、人々は共同体から大きな影響を受けているということであり、「無知のヴェール」は虚構に過ぎないということになる。

  • 無知のヴェール:かぶると、各人が自分の社会状態や地位を忘れた状態になる。ロールズはこの状態で社会契約を結ぶべきだと主張した。

コミュニタリアニズム

正しいことよりも、善いこと、または、その共同体の目的の方が重視されるべきだ。

  • 正義は人々が契約によって合意するものではなく、共同体単位でそこに属する人々で発見していくものである。
  • 正義は善から切り離されて存在することはできない。正義は善と関係して存在する。
  • 正義は共同体から独立して存在するものではない。それぞれの共同体ごとに定義されるものである。

普遍的・単一的な価値観(正義)ではなく、文化的な共同体の中で培われる価値観を重視する政治哲学の立場をコミュニタリアニズム(共同体主義)と言う

名言

「リバタリアンの哲学は政治勢力図の上にきちんとした位置を持っていない」


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