アリストテレスの人生
アリストテレスは何年に生まれて、何年に亡くなったか?
→前384年~前322年
アリストテレスはどこの生まれか?
→トラキア地方のスタゲイロス(スタギラ)に生まれる。
スタゲイロスはギリシア人の植民町だよ。
アリストテレスは幼少期に両親を亡くしてしまっているよ。
アリストテレスは17歳のときアテナイに行き、そこである学園に入門する。その学園の名前は?
→アカデメイア
アリストテレスはアカデメイアに20年在籍したよ。
アカデメイアを創設したのは誰か?
→プラトン
アリストテレスはプラトンの弟子ということになるよ。
ただし、アリストテレスはプラトンのイデア論を批判しているよ。
アリストテレスは42歳ごろ、マケドニア王フィリッポス2世の招きによって、ある人物の家庭教師となる。その人物は誰か?
→アレクサンドロス(後のアレクサンドロス大王)
アリストテレスの教えは、アレクサンドロス大王の思想に大きな影響を与えるよ。
アリストテレスは49歳ごろ、アテナイの郊外に学園を開設した。その学園の名前は?
→リュケイオン
アリストテレスは弟子たちと散歩をしながら議論することを好んだそうだよ。
アリストテレスは、あらゆる分野を広く研究したので何と呼ばれているか?
→万学の祖
アリストテレスは万物の根本的な原因や原理を考察・探究した。そのアリストテレスの著作群をまとめた書物の名前を何というか?
→『形而上学』
アリストテレスは現実世界の観察を重視し、あらゆるものの存在理由を探したんだ。このアリストテレスの思想は、近代以降の科学にもつながっているよ。
形而上学:世界の普遍的な原理を理性によって探求しようとする哲学。アリストテレスは、「第一哲学」と呼んだ。これに対して、形而下学は、実体のあるものを対象とした応用科学のこと。
アリストテレスは倫理学にも大きな影響を与えている。アリストテレスの倫理学に関する著作群をまとめた書物の名前は?
→『二コマコス倫理学』
『ニコマコス倫理学』は、「幸福を実現する方法」や「正しい生き方」をテーマにしているよ。
ちなみに、ニコマコスはアリストテレスの息子の名前だよ。
アリストテレスは、アレクサンドロス大王が亡くなった次の年の紀元前322年に62歳で亡くなったよ。
アリストテレスの思想
形而上学
アリストテレスは、物事を成り立たせているものは、物事の内側に4つあると主張した。この考えを何と言うか?
→四原因説
プラトンは、物事の本質は物事の外側(イデア界)に存在すると主張したのに対して、アリストテレスは、物事の本質は物事の内側に存在すると主張したんだ。
アリストテレスが主張する、この世界の現象の4つの原因をそれぞれ答えよ。
→①質料因、②形相因、③起動因(作用因)、④目的因
質料と形相をそれぞれギリシア語で何と言うか?
→質料:ヒュレー、形相:エイドス
ヒュレーとエイドスが結びついて万物が成り立っており、エイドスをさらに3つに分けたのが、形相因・起動因・目的因だよ。
質料因とは何を表しているか?
→その事物が何でできているか。
形相因とは何か?
→そのものの実体であり本質
形相因は、そのものの設計図だと考えるといいよ。
起動因とは何か?
→運動や変化を引き起こす始まり
目的因とは何か?
→運動や変化が目指している終わり
質料(ヒュレー)は形相(エイドス)と結びつくことで、事物を生成することができる。この事物が生成する前の可能性の状態のことを何と言うか?
→可能態(デュナミス)
植物を例にすると、(いずれ花になる)種子の状態が可能態(デュナミス)だよ。
可能態(デュナミス)が、その可能性を実現させた状態のことを何と言うか?
→現実態(エネルゲイア)
植物を例にすると、種子から成長して花になった状態が現実態(エネルゲイア)だよ。
倫理学
アリストテレスは、徳を2つに分類した。何と何に分類したか?
→知性的徳と習性的徳(倫理的徳)に分類した。
習性は古代ギリシア語でエートスと呼ばれるよ。このエートスが転じて、現代の英語のethics(倫理)となるよ。
知性的徳はさらに5つに分類できる。それぞれ何か?
→①技術(テクネー)、②知性(ヌース)、③知識(エピステーメ)、④智慧(ソフィア)、⑤思慮(フロネーシス)
特に思慮(フロネーシス)が重要であるとアリストテレスは主張しているよ。
習性的徳(倫理的徳)とは何か?
→行為や習慣(エートス)から生まれる徳のことで、社会生活の中で望ましい生活ができる人柄のよさのこと。
習性的徳(倫理的徳)を得るためには、実際に善い行動をしないといけないよ。善い行動をすることで、善い人間になることができるんだ。
善い行動をして、善く生きるためには、どのような状態が重要であるとアリストテレスは主張したか?
→中庸(メソテース)
中庸(メソテース)とは、不足もしておらず超過もしていない、ちょうどよい状態のことだよ。
例えば、勇気は不足すると「臆病」になり、超過すると「蛮勇」となってしまうよ。このどちらも望ましくない状態で、ちょうど真ん中の「勇敢」が中庸(=徳)と言える状態だよ。
不足 | 中庸 | 超過 |
---|---|---|
臆病 | 勇敢 | 蛮勇 |
無感覚 | 節制 | 放埒 |
けち | 寛容 | 放漫 |
卑屈 | 矜持 | 傲慢 |
機嫌取り | 親愛 | 不愉快 |
卑下 | 真実 | 虚偽 |
互いの徳によって結ばれる愛のことを何と言うか?
→友愛(フィリア)
友愛(フィリア)こそが、永続的・不変的な愛であるとアリストテレスは考えたよ。
人間の行為には全て目的があり、それらの目的の最上位にある究極の目的を何と言うか?
→最高善
最高善は、それ自体で完結し、何も欠けているものがなく、他のものの手段とならないような目的(善)のことだよ。
個人においての最高善とは何か?
→幸福(エウダイモニア)
幸福はそれ自体で望ましく、手段として利用されることがないとアリストテレスは考えたよ。
この場合の幸福は、刹那的な快楽ではなく、人生全体の幸福のことで、「善い人生を送ること」と言い換えることもできるよ。
幸福を実現する生き方として、アリストテレスはどのような生き方を提案したか?
→観想(テオリア)的な生き方
観想(テオリア)とは、日常的な感覚を離れて、理性によって真・善・美といったことを考察することだよ。
知恵を愛することは人間特有の機能であり、その機能を十分に発揮することが幸福な生き方であるとアリストテレスは考えたよ。
政治学
アリストテレスは政治の目的は何であると言ったか?
→善の追求
「政治が為すべきことは、善き市民を育成して、善き人格を養成することである」とアリストテレスは言ったよ。
アリストテレスは、人間はどのような動物であると言ったか?
→「人間はポリス的動物である」
「共同する必要のないものは神であり、共同できないものは野獣である」とも言ったよ。
人間は他人と共同して生きる存在であり、人間の目的は政治参加であるとアリストテレスは主張したよ。
ポリス:「都市国家」と訳されるギリシア語。古代ギリシアにおいては、アテナイ、スパルタ、テーバイなどのポリスが存在しており、ポリスごとの市民による統治が行われていた。politics(政治)の語源である。
アリストテレスは、どのような政治体制が最も安定的であると考えたか?
→中庸的民主主義(最も人口が多い中流階級の人々が政治の中心になる民主主義)
貧しい民衆が政治を主導すると衆愚政治となり、少数のエリートによる支配は腐敗するとアリストテレスは考えたよ。
衆愚政治:古代ギリシアの都市国家アテナイが陥った「失敗した民主政治」のこと。教養のない市民によって議論が滞ったり、愚かな政策が実行されたりした。
名言
善き人になろうとするものは、適切に養育され、立派に習慣づけられて、その後すぐれた課題をこなして立派に生き、不本意にせよ自発的にせよ、劣悪なことを為さないようにしなければならない。
『ニコマコス倫理学』
人間はポリス的動物である。
『政治学』
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※アイキャッチ画像:アリストテレス(After リュシッポス – Jastrow (2006), パブリック・ドメイン, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=1359807による)