☆ゲオルク・ヴィルヘルム・フリードリヒ・ヘーゲルと対話しよう→ゲオルク・ヴィルヘルム・フリードリヒ・ヘーゲルが質問・疑問に答えます!
人物情報
1770年~1831年
神聖ローマ帝国のヴュルテンベルク(ドイツ南部)に生まれる。
カントを批判したフィヒテと、シェリングの哲学を批判的に統合し、ドイツ観念論を完成させた。
観念論:観念とは、心の中にある意識内容や思考対象を指す。観念論は精神的なものを重視する思想。対立するのが唯物論。
基本知識
絶対精神
ヘーゲルは、無限者(世界や歴史がつくられるすべての原因)を「絶対精神」とした。この世界のすべては絶対精神の表れである。
無限者は、無限者自身の同一性を保ったまま、そこに内包される有限者が変化を繰り返していく。この営みが世界であり歴史である。
歴史の創造
世界史は、絶対精神の自己実現過程であり、絶対精神は自由拡大によって自己を実現する。
絶対精神は、全知ではあるが全能ではないため、自分で手を加えることはできない。そこで、自身の代わりに人間に変化を実現させる。このことを理性の狡知という。
つまり、絶対精神は、英雄や民族をあやつり歴史を創造している。世界のすべては絶対精神の表れであり、現実の歴史や社会の中に絶対精神が表れる。そのため、世界や歴史や社会は理性的である。
このような変化の先に到達しようとしているのが、真の自由である。
精神の働き
精神の基本的な働きは自覚であり、それは自分の内面にあるものを外の何ものかに表現する自己外化によって行われる。
弁証法
歴史は絶対精神が自由に到達するための途中過程であるが、その変化の法則が弁証法である。
テーゼ(正、定立)に対立するアンチテーゼ(反、反定立)がある→この2つの議論は両者の立場を考慮しつつ、お互いの立場を超えた第三の立場へと押し上げる(アウフヘーベン(止揚))→そして、ジンテーゼ(合、総合)となる。
このプロセスが無限に繰り返されることによって、最終的に絶対精神を捉える絶対知に至る。
弁証法は思考方法だけでなく、万物の運動の法則でもある。
【例】花が咲けばつぼみが消え、実がなれば花は消える。このように、以前の自己を否定しながら前へ進んでいる。
人倫
歴史が弁証法を繰り返すことによって、人間はより自由になる。
真の自由には、主観的な道徳法則だけでなく、客観的な制度(風習・法律・組織など)が必要である。この内面的道徳と客観的制度のアウフヘーベンによって到達する人倫で真の自由が実現できる。
人間は、人倫の中で相互承認を行う。
人倫には3つの段階がある。
- 家族
- 市民社会
- 国家
家族には互いをいたわりあう一定の道徳が実現される。しかし、やがて子どもは成長すると家から離れる。家族と矛盾する人倫として市民社会が立ちふさがる。市民社会は家族よりも自由だが、欲望の体系(私利私欲が渦巻く競争社会)で、「人倫の喪失態」に陥る。
そして、最後に、家族の愛と市民社会の自由を両方持つ国家が誕生する。つまり、家族と市民社会のアウフヘーベンが国家であり、国家は人倫の最終形態である。
名言
「理性的なものは現実的であり、現実的なものは理性的である」
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