人物情報
1883年~1955年
スペインのマドリードに生まれる。
主著
『大衆の反逆』
基本知識
大衆の定義
良きにつけ悪しきにつけ、大衆とはおのれ自身を特別な理由によって評価せず、「みんなと同じ」であると感じても、そのことに苦しまず、他の人たちと自分は同じなのだと、むしろ満足している人たちのことを言う。
自らに何らか特別な要求をせず、生きることも既存の自分の繰り返しにすぎず、自己完成への努力をせずに、波の間に間に浮標のように漂っている人を大衆という。
大衆を社会階級による区別ではなく、人間の精神的な部分に見出している。
大衆の特徴
大衆は過去を無視している。自分の生の欲望と安楽な生存を可能にしてくれたすべてのものに対する徹底的な忘恩である。
大衆は自分たちの時代がどの時代よりも良い時代だと思っている。生は豊かで容易で余裕がある。悲観するところもない。大衆は支配と勝利の感覚を抱いている。
世界にある無限の可能性から自らを閉ざしている。外部からのいっさいの示唆にたいして自己を閉ざしてしまい、他人の言葉に耳を貸さず、自分の見解になんら疑問を抱こうとせず、また自分以外の人の存在を考慮にいれようとはしなくなるのである。
名言
「さしあたって私たちの生は、どの生よりも大きく感じられる。没落しているなどと感じていることができようか。まったくその反対である。つまり自らをより生である感じているために、過去に対するすべての尊敬の念、すべての関心を失ってしまったのだ。かの有名なルネサンスなどは、私たちにはごく狭い、田舎臭い、空しい身振りの、気障(きざ)な時代に思えるのである」
「大衆は豊かな環境で好き勝手にふるまえると信じ切っている。しかしあらゆる可能性が広がっており、到底無能な彼では処理しきれない無限の可能性から自らを閉ざす以外に途はない」
「彼はたまたま自分の内部に溜まった一連の決まり文句、偏見、観念の切っ端、あるいは意味のない語彙を後世大事に神棚に祀ったあと、天真爛漫としか説明しようのない大胆さをもってそれらを相手かまわず押し付けている」
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