人物情報
1856年~1939年
オーストリアのフライベルクにユダヤ人として生まれる。
精神分析学の祖とされ、精神の病に関する研究が一気に広まる。ダーウィンの進化論に並んで、20世紀の思想に大きな影響を与えた。
フロムはフロイトを批判的に継承した(新フロイト派(フロイト左派))。ドゥルーズとガタリはフロイトの影響を受けた。
三大心理学者(フロイト・ユング・アドラー)と称されることもある。ユング・アドラーは弟子であったが、思想の違いにより決別している。
基本知識
無意識の発見
もし人間が明瞭な意識(理性)だけで生きているのならば、人間の行動を体系化して説明できるはずだが、実際はそうなっていない。つまり、意識は、その下位にある領域の影響を受けている。
それまで想定されていなかった無意識を発見した。
意識の3つの領域
- 超自我(スーパーエゴ):幼いころのしつけなどを通じて組み込まれた良心、道徳、倫理。
- 自我(エゴ):心の主体、意識。エスとスーパーエゴを調整し、環境(現実)に適応しようとする。
- エス(イド):精神の奥底にある、野性的で本能的な領域。欲望そのもの。リビドー(性欲を根源とするエネルギー)に支配される。
スーパーエゴとエスが無意識にあたる領域で、自我は2つの無意識に板挟みにされ、それを調整する役目をしている。
防衛機制
欲求不満(フラストレーション)から自我を守るための無意識の働きを防衛機制という。
- 抑圧:欲求不満の対象となることを意識に上がらないようにすること。
- 反動形成:容認されない世級と逆の国道をとること。
- 投射:自分の中に欲求不満の原因があるのに、それを他者などほかに移し替えること。
- 合理化:理屈をつけて納得しようとすること。
- 代償:代わりのもので満足しようとすること。
- 同一視:自分が望ましいと思っている(が、なかなかそうなれない)目標の性質を取り込むこと。
- 逃避:欲求不満の原因となる現実から逃げること。
- 退行:低い発達段階に逆戻りすること。
- 昇華:欲求を社会的価値のあるものに置き換えること。芸術や文化の発展につながることがある。
※代償の一種として、自分の長所を強調することなどにより弱点をカバーすることを、アドラーは補償と呼んだ。
抑圧された欲望の表出
欲求不満に対する防衛機制としてもっとも行われやすいのが抑圧である。欲望は抑圧から解放されようとして、以下の3つの方法で表出する。
- 錯誤行為:言い間違い、ど忘れ。
- 夢:願望の充足。潜在的な欲望を検閲して歪曲した上で、夢の内容が構成されている。
- 神経症:抑圧された欲望が身体症状として表出したもの。ヒステリーなどの精神病。
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