人物情報
1905年~1980年
フランスのパリに生まれる。
実存主義の集大成と言われる。
政治や歴史への積極的な参加を強く促した。自らもベトナム反戦運動やアルジェリア独立闘争に参加する。日本の安保闘争などにも大きな影響を与えた。
実存主義:現代社会における人間性喪失という問題をテーマにしている。内面的な変革によって人間が本来的自己に立ち返るべきであると唱えた。
実存(existence):「現実存在」のこと。かけがえのない自分が現実に存在するということである。「人間一般」ではなく、取り換え不可能な個人というものを重視し、人間の主体性回復を目指す。
サルトルは、ボーヴォワールを伴侶にした。ボーヴォワールは『第二の性』を著したことで有名(「人は女に生まれるのではない。女になる」という言葉でよく知られる)。サルトルとボーヴォワールは現行の結婚制度ではなく、契約結婚という独自の結婚形態を選んだ。
サルトルは、マルクス主義に傾倒したと言われる。そのため、ノーベル文学賞を受賞したアルベール・カミュ(非合理で無意味な人生を「不条理」という言葉でくくったことで知られる)とは互いを認め合う関係であったが、社会主義に対する評価の違いから、決別することになる。
主著
『存在と無』
基本情報
実存は本質に先立つ
人間は本質を持たずに生まれる。つまり、人間はこの世に生を受けた瞬間には何の意味も目的も有していない。
人間が最初に持っているのは、自由という実存であり、自由に本質(自己)を創造することができる。
そのため、人間は未来に向かって自己を投げ出す投企的存在である。
- 即自存在:本質と存在が同時に規定されている事物。
- 対自存在:つねに自己を意識して自己を創造する存在。人間は対自存在として自己に向き合う存在である。
自由の刑
人間は本来的に自由である。ただし、その自由な選択や行動には責任が伴う。
人間は本来的に一人一人違う実存を持っているから、責任を他者と分け合うことはできない。そのため、目の前にある自由を自分で選択して生きていかなければならない。そして、その選択には責任が付きまとい、それは共有できない孤独な作業である。
自由は苦痛であり、孤独なものである。このことを「人間は自由の刑に処されている」と言った。
アンガージュマン
自分の本質を見つけるためには、行為が必要である。そのため、責任と向き合って社会参加しないといけない。
自由の中から選択し、自分を拘束して、積極的に社会参加することを「アンガージュマン(engagement)」という。
名言
「実存は本質に先立つ」
「人間は自由の刑に処されている」
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