「この世界は何でできているの?」と疑問に思ったことはないでしょうか? 哲学者たちも「世界の成り立ち」について考えています。ぜひ彼らの話を聞いてみましょう。 ※哲学者本人の言葉ではありません。彼らの思想や言葉から、筆者が想像して回答を書いています。
古代西洋の哲学者たちの回答
タレス
「万物の始原(アルケー)は水である。世界を観察すると、生命の維持には水が必要であると分かる。よって、万物は、水から生まれ水に収束する」
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アナクシマンドロス
「万物の始原(アルケー)は無限定なもの(ト・アペイロン)である。アルケーは、特定でなく、単一でないものでなければならない。無限にあり、かつ、無限定なものでなければならない。この世界は、無限定なもの(ト・アペイロン)から生まれたあらゆる事物が、動的な均衡によって変化を続けている」
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アナクシメネス
「万物の始原(アルケー)は空気である。空気は、この世界に存在する物質の中で最も可変性が高く、無限に存在すると思える物質だ。空気の密度によって、万物は生成されており、それらが複雑に絡み合うことで世界が構成されているのだ。例えば、空気の密度が濃ければ岩となり、空気の密度が低ければ火となるように。もちろん人間の体も魂も空気でできている」
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ヘラクレイトス
「万物の始原(アルケー)は火である。宇宙は、火を起点として絶え間ない生成と変化を繰り返している。宇宙の秩序は、とこわに生きる火であり、一定の分だけ燃え、一定の分だけ消える」
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ピタゴラス
「万物の始原(アルケー)は数である。あらゆる事象には数が内在しており、数によって世界は解明できる」
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パルメニデス
「万物の始原(アルケー)は『ト・エオン(ただあるもの)』である。『ト・エオン(ただあるもの)』とは、完全にして、終わりなきもの、かつてあったこともなく、いずれあるであろうこともない、今あるものである。そして、一挙に、全体として、一つにつながり合うものとして、ただあるものがあるのだ。以下に、存在が不生不滅であり、全体にして一様であることを証明する」
- もし存在が存在するものから生成されたのであれば、生成した存在を生成した存在があることになり、無限にたどれてしまう。
- もし存在が存在していないものから生成されたのであれば、存在していないもの自体を知ることも語ることもできないので不合理である。
- 1・2より、存在が生成したとは考えられない。よって、存在は不生不滅である。存在は生成されないし、消滅もしない。
- もし存在を分けることができるならば、存在と存在の間に存在しないものが生成されることになる。
- 「ないものがある」ことになるので不合理である。
- よって、存在は不分不断である。存在は全体にして一様である。
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エレアのゼノン
「万物の始原(アルケー)は『ト・エオン(あるもの)』である。『ト・エオン(あるもの)』とは永遠不変の一なるものである。以下に存在は一であることを背理法を用いて証明する」
存在の多数性論駁
前提:存在は有限である。
- 「存在は複数である」と仮定する。
- すると、存在を分け隔てるものがあることになる。
- 存在と、存在を分け隔てている存在の間にも、存在があることになる。
- 存在が無限に分割されてしまう。
- これは前提に矛盾している。
- よって、「存在は一である」が証明される。
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エンペドクレス
「万物の始原(アルケー)は水、空気、火、土の四元素である。四元素自体は不生不滅である。混合(愛)と分離(争い)を繰り返すことにより、世界に変化が起きている」
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デモクリトス
「万物の始原(アルケー)は原子(アトム)である。アトムは不生不滅で、分割不可能である。空虚(ケノン)の中を飛び回ることで、それぞれ集合と離散を繰り返し、世界におけるあらゆる現象が成り立っている」
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プロティノス
「一者(ト・ヘン)である神から湧き出るように万物が生成している。人間を含め万物は一者の一部である」
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近代西洋の哲学者たちの回答
バールーフ・デ・スピノザ
「世界は神である。実体とはそれ自体が独立して、その概念を形成するのに他の存在を必要としないものである。そして、世界にあるすべてのものは他のものとの因果関係なしに存在できない。よって、実体とは世界全体のみである。つまり、世界全体とは神である」
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ゴットフリート・ヴィルヘルム・ライプニッツ
「世界はモナド(単子)の表像である。モナドとは極小の点で、非物質的で精神的なものである。モナドは互いに影響し合うことはなく、すべての性質と可能性を備えている」
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ドゥニ・ディドロ
「観念や精神、心などの精神的なものも含めて、この世界はすべて物質である」
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ヨハン・ゴットリープ・フィヒテ
「世界の根底にある一元的な要素は自我である。自我は自我と非我を生み出すが、自我が分かれる前の自我のことを絶対我という」
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フリードリヒ・シェリング
「この世界は、絶対者によってできている。絶対者は、精神の根拠だけでなく、自然の根拠にもなっている。絶対者から精神と自然に分かれるのは、精神性の量の問題である。それぞれの要素の流れ出る割合によって変化する。つまり、精神性が高ければ精神となり、精神性が低ければ自然となる。人間も両方の要素を持っているが、精神の要素が多いから精神として表れている」
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ゲオルク・ヴィルヘルム・フリードリヒ・ヘーゲル
「この世界のすべては絶対精神の表れである。絶対精神は無限な存在であり、すべてのものの原因であり、世界のすべてを含んでいる。絶対精神に内包される有限者が変化を繰り返していき、その営みが世界であり歴史である」
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現代西洋の哲学者たちの回答
アルトゥル・ショーペンハウアー
「世界は意志と表象である。世界のあらゆる表象は、生きるための絶え間ない努力を続けている。この生への盲目的な意志が、あらゆる生命現象と物理現象の背後で働いて、物質においてはそれが客体化されている」
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ジル・ドゥルーズ
「この世界は差異でできている。しかし、その差異自体を理解することはできないので、その差異の反復によってしか考えることができない。また、世界は欲望によって形作られている。欲望は好き勝手に飛び回り、それが結果として、様々な自然現象を生み出している」
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ルートヴィヒ・ウィトゲンシュタイン
「世界は、成立している事柄の総体である。つまり、世界は事実の寄せ集めであって、物の寄せ集めではない。また、世界は価値を有してはおらず、世界の意味を語ることはできない。世界がいかにあるかが神秘なのではない。世界があるという、その事実が神秘なのだ」
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