「人間はどのように世界を認識しているの?」と疑問に思ったことはないでしょうか? 哲学者たちも「認識」について考えています。ぜひ彼らの話を聞いてみましょう。 ※哲学者本人の言葉ではありません。彼らの思想や言葉から、筆者が想像して回答を書いています。
古代西洋の哲学者たちの回答
デモクリトス
「人間の認識には感覚と思惟がある。感覚は暗い認識であるが、思惟は真なる認識である。思惟は、論理的思考による認識で、目に見えない世界を考えるときには必要となるものである」
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プラトン
「世界にあるあらゆる物事のオリジナルのことを『イデア』といい、人間は『イデア』を参照してコピーでできている世界を見ている。もともと魂はイデア界にあったため、魂が知っているイデアを思い出して世界を認識している。そして、イデアは感性ではなく、理性によってのみ認識することが可能なのである」
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中世西洋の哲学者たちの回答
アウグスティヌス
「我々は何かを判断するとき、自分の中の真理と照らし合わせている。その自己の中の真理は永遠不変であり、神の光に照らされて初めて認識できるものである。つまり、人間は神の光によって認識した真理を利用して判断しているのだ」
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ヨハネス・ドゥンス・スコトゥス
「我々は花を見たとき、花一般という普遍的な概念もセットで認識している。つまり、物には、そのもの自体にさせている普遍的な性質が備わっており、この性質を『このもの性』という」
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オッカムのウィリアム
「人間は事物をそのまま認識する能力しか持っていない。認識が観念として人間の中に残り、過去に取得した習得知との類似性や共通性から普遍的な概念が形成されている。人間は経験によって得た認識の複合によって判断しているのだ。プラトンの言う『イデア』、アリストテレスの言う『形相(エイドス)』などというものは存在しない」
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近代西洋の哲学者たちの回答
ジョン・ロック
「認識には経験の蓄積が必要である。感覚(形、数、運動、色、音、においなど)と反省(心が自分自身を顧みたり、疑ったり、考えたりすることによって現れる観念)という2つの経験があり、これらが複合することで物事を認識している」
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ジョージ・バークリー
「人は感覚によって世界を認識しているが、その感覚に客観的なものなどなく、すべて主観的なものである。物質が実体として、人間の知覚を離れて独自に、存在することはない」
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デイヴィッド・ヒューム
「人間の認識は知覚に基づく経験である。人間が知覚できる対象は、印象(その瞬間の刺激)と観念(過去の記憶や想像によって呼び起こされるもの)の2つあるが、この2つが結合したり加工されたりして、人間の認識が形成される」
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バールーフ・デ・スピノザ
「我々が認識している世界は、神のその時々における擬態である。なぜなら、神は自然そのものであるからだ。神は無限であるため、外部や例外がない。よって、すべての存在事物は神の内部にあり、神がすべてを包み込んでいる」
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イマヌエル・カント
「人間はもの自体を認識できない。人間が認識できるのは表象のみである。表象とはもの自体が発した刺激を受け取って、その感覚を読み取って認識しているものである。また、認識する際には必ず先験的な(アプリオリ)な受け取りのパターンを利用しており、認識した瞬間にそのものは、すでに経験のプロセスを経由していて、その時点でそのもの自体ではなくなっている。つまり、われわれの認識が対象に従うのではなく、むしろ対象のほうが我々の認識に従わなければならないのである」
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現代西洋の哲学者たちの回答
エトムント・フッサール
「もの(客観)とものの表れ(主観)は別物であるが、私たちは意識経験をもとに物事を考えているため、客観をとらえることはできず、主観的にしか考えることができない。対象があって認識するのではなく、現出(直接的な感覚や体験)の結果として対象が意識の上に認識としてできあがる」
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モーリス・メルロー=ポンティ
「人の認識は、所属する共同体による時間性(歴史など)の影響を受ける。先入意識が構成され、知覚の瞬間に本人の意図するところ以外で作用し、原初の体験に含まれてしまう。よって、純粋な意識を捉えることはできない」
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ミシェル・フーコー
「我々は自身が生きている時代のエピステーメーを利用して物事を認識している。エピステーメーとは各時代に特有な思考形式である。つまり、生きていく中で自然に身に着けたものによって、無意識のうちに構造に縛られていて、思考や感情はエピステーメーに支配されている」
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ジル・ドゥルーズ
「この世界は差異でできている。しかし、差異自体を理解することはできないので、私たちは差異を抜き取った同一性の世界を生きているように感じている」
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ルートヴィヒ・ウィトゲンシュタイン
「我々は事実の像をこしらえる。我々は、事実を命題や絵画や音楽などによって表現する。これを像という。我々は現実の模型である像をこしらえることによって、成立していない事態や成立している事態(事実)を描くことができる」
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